靖国神社 奉納野外劇『俺は、君のためにこそ死ににいく』

忘れられない舞台の一つ、8月に出演した石原慎太郎さん原作の舞台。

実在の人物を演じたのは初めてでした。​
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オーディションに受かると、この作品のモデルとなった役の方のご家族からご連絡をいただきました。
知覧までは行けませんでしたが、皆様のご協力で、資料や手紙は全て目を通し、何度もやり取りをさせていただき、役作りしました。

残されたご家族の想いをお伺いして、私に役を演じ切れるのか?
正直、とても怖くなってしまい、重責に悩みました。

特攻出撃直前の夫婦の心情を描いた重要なシーンを演じる田端良子 役で出演。
私が演じたのは、特効隊員の妻。

夫を戦争で失う妻の気持ち、実在の方。
この役とのご縁で、演技とは、その世界を生き切ることだと気づかせてもらいました。

特効基地となった知覧飛行場から沖縄に向けて出撃。
439人の特効隊員が命を落としました。
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台本を読みこんで稽古に参加しても、録画した私の声のトーンには気迫も感じられず、表情にも命を意識した緊迫感が出せず、眠れない日々が続きました。

四六時中、良子に想いを馳せて過ごしても、気持ちと身体が一致しない葛藤が続いたのです。

舞台初日は、石原慎太郎さんご本人が激励に駆けつけてくださり、知覧のご家族の皆さんもツアーでいらっしゃり、緊張しすぎて、どう演じたかすら思い出せません。


かろうじて覚えていたのは舞台が終わって、ひと月くらい、役の世界と現実の世界の区別がつかなくなったことです。​
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山手線に乗っていたら、突然、爆撃の音が聞こえてきたり、夫役の方が墜落する夢を何度も何度も見て、うなされました。​
ちょっと怖いですよね(笑)​
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それくらい気持ちが入りすぎていたので、憑依したのだと思います。​
あの時は精一杯…でも、作品として考えると、当時の監督のアドバイス、今ならよく分かります。​
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当時は、与えられた役の世界を生きることが必死で、この作品からお客様に何を感じて、持ち帰っていただきたいか?​
どこまで伝えられたのかは、分かりません。​
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改めまして、監督、出演者の皆さん、作品に携わった全ての方々へ、チャンスをありがとうございました。​
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先人たちの「想い」を受け継ぐ。
毎年この時期になると、この舞台を思い出します。

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