去年(2025年9月)、インドで開催された世界経済フォーラム関連サミット後、現地の大学生向けにプレゼンテーションの授業を行う機会がありました。
そこで私を待っていたのは、言葉の壁を優に越えて迫ってくる、彼らの凄まじい熱量とガッツでした。
「プレゼンに自信があるから、もっとブラッシュアップしたい!」
「世界で活躍するためのグローバル戦略について聞きたい!」
目を輝かせ、英語の文法など気にせずに、思ったことを全身で伝えてくる彼ら彼女らの姿に、私は深く心を打たれました。
しかし、その感動の最中、ふと私の頭をよぎった思いがありました。
「日本人として、私は日本の学生たちに何ができるだろうか?講演活動だけでは伝えられない、授業で教えられることがあるのではないだろうか?」
「彼ら彼女らのように、表現できる日本人が増えたら、もっと世界で活躍できる日本人が増えるのではないだろうか?」
インドの熱気を肌で感じれば感じるほど、「日本人として、まずは日本の学生たちに貢献したい」という情熱が、抑えきれないほど湧き上がってきたのです。
■ 自分を突き動かした「名古屋への想い」と、新たな挑戦
帰国した私は、その熱が冷めないうちに動きました。
「今の私にできることはないか」と、地元である名古屋市や愛知県の教育関連部署に、自ら連絡を取ったのです。
そして今日、皆さんにとっても嬉しいご報告があります。
この度、名古屋市教育委員会が推進する「ナゴヤキャリアタイムサポーター」として、正式に活動させていただくことになりました。

子どもたちが、実社会の「本物の大人」と出会い、自分らしい生き方を実現する力を育むためのこのプロジェクト。
私がこれまで経営者やリーダーたちに伝えてきた「ボディスピーチ」の技術が、これからの未来を担う子どもたちの役に立てる。その喜びに、今から胸が高鳴っています。
■ SNS時代だからこそ失われている「本当の表現」
今はSNSの時代です。
誰もが簡単に発信でき、一見すると「表現」はとても自由になったように見えます。
けれど、実際はどうでしょうか?
「自分は何を考え、どんな人生を生きたいのか」
これを、心の底から自分の言葉で語れる人は、大人でもそう多くはありません。
周りの目を気にしたり、「正解」を探したりするうちに、自分の本当の気持ちにフタをしてしまう。
かつて、極度の話しベタで自分を抑圧し、人前で過呼吸になるほど苦しんでいた私だからこそ、その息苦しさが痛いほどわかります。
表現のツールが増えたからこそ、皮肉にも「自分の本音」が迷子になっている若者が増えているように感じてならないのです。
■ ボディスピーチが目指す「身口意一致(しんくいいっち)」の境地
私が伝えている「ボディスピーチ」は、単なる上手に話すためのスピーチ術ではありません。
仏教の言葉に「身口意(しんくい)」というものがあります。
「身(行動・振る舞い)」「口(言葉)」「意(心・意図)」のことです。
この3つがバラバラなとき、人は無意識に自分に嘘をつくことになります。
心で「自信がない」と思っているのに、口でポジティブなことを言い、身体はこわばっている。その「違和感」は必ず相手に伝わり、人間関係のノイズとなってしまいます。
もし、子供のうちから、この「身・口・意」を一致させる表現を学べたら、どうなるでしょうか?
親の期待や、世間の損得勘定で将来を選ぶ必要がなくなります。
「自分がどう在りたいか」という本心に沿って生きられるようになります。
自分に嘘をつかない表現ができるようになれば、人は恐れを手放し、本当の意味で他者と深くつながることができるのです。
■ 名古屋から世界へ。社会を豊かにする波紋
この教育は、子どもたち個人の成長にとどまりません。
若者たちが自分の軸を持ち、身口意を一致させて社会に出ていけば、企業にとっても計り知れない価値をもたらします。
「言っていることと思っていることが違う」というコミュニケーションの不一致が減れば、組織内の心理的安全性は高まります。
それは結果的に、「離職率の低下」や「エンゲージメントの向上」という形で、社会全体を豊かにしていくはずです。
まずは、私の原点でもある地元・名古屋の教育現場から。
そして、この「身口意一致の表現」の輪を、日本中へ、さらには世界へと広げていきたい。
子どもたちが、自分自身を“ご神木”のように尊く扱い、堂々と自分の言葉で未来を語れる社会を創るために。
私の新たな挑戦が、ここから始まります。

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