身体で感じたことだけが「言葉」になる――ベトナムで確信した、非言語コミュニケーションの本質

■ “通過点の一つ”として位置づけられている可能性
ホーチミンの工業大学で出会った学生たちの「瞳」が、忘れられません。

多くの学生が日本語を学び、将来のキャリアとして日本で働くことを視野に入れています。
この事実だけを見れば、日本は依然として“選ばれている国”です。
でも、その視線の先にあったのは、日本ではなく“その先の世界”でした。

なぜ、日本で学びたいのかを聞くと、「日本人は決められたルールを守り、礼儀正しいから」でした。

これは、去年インドで開催された世界経済フォーラムで英語講演後に受けた現地の大学生の質問
「どうすれば、日本人のように“人や組織が守るべきルールや規則に従う(Discipline)ことができるのか?」と
同じ考えだなと感じました。

インドの学生も、ベトナムの学生も、日本の「Discipline(規律)」の中に、プロフェッショナルとして人格を磨くためのヒントを見出そうとしています。そしてそれを自らの血肉とし、日本を土台にして、さらにその先のグローバルな可能性へと羽ばたこうとしている。

日本は「目的地」であると同時に、世界へ出るための「学び舎」として位置づけられている。
その現実に、私は身の引き締まる思いがしました。

なぜ「体感」からしか、本当の言葉は生まれないのか

では、私たちはどこまで「体感」を伴って、物事を理解できているでしょうか。
私自身、今回のベトナムで初めて「分かったつもりだったこと」に気づかされました。

これは「伝える」ではなく「伝わる」を生むために必要なことなのです。

ちなみに、私が日本語や英語の講演で最も大切にしているのは、「体験型(体感型)」であることです。

なぜなら、コミュニケーションの本質は、1対1でも、1対多の講演でも変わりません。そこには常に「エネルギーのキャッチボール」の連続があるからです。

今は、現地に行かなくても、まるで行ったかのような気持ちになれるリール動画やSNSが溢れています。情報として頭に蓄積される記憶も楽しいものですが、やはり現地の空気を見て、音を聴き、肌で体感することに勝る体験はありません。

身体で感じたことが鮮明なイメージとなり、それが最終的に言語化されることで、私たちは初めて「自分の言葉」で語ることができるようになる。

これは、もともと人前で話すことに強い苦手意識があり、言葉がうまく出てこない自分に葛藤していた時期もありました。
だからこそ、頭で考える「情報」ではなく、身体で感じる「プロセス」を何よりも大切にしてきました。

そんな想いを日頃から夫に熱く語っていたところ、今年のホワイトデーに、夫がベトナム旅行をプレゼントしてくれました。

■ データの裏側にある、若者たちの「瞳」の熱量
そうして訪れた、ホーチミンの熱気の中。
私の五感が捉えたのは、デジタルなニュースやデータでは決して掴めない、この国の人々の生々しい生命力でした。

特に心に焼き付いているのは、現地の工業大学で日本語を学ぶ学生たちの「瞳」です。

彼らは非常に熱心に日本語を学んでいます。
でも、その熱量は「日本」という場所に向いているというよりも、
“その先の未来を自分で掴みにいく意志”として、身体全体から伝わってきました。

日本は彼らにとって、目的地であると同時に、世界へ羽ばたくための「重要な通過点」になりつつある。その切実なまでの意志が、言葉以上の熱量を持って私に届いてきました。かつて俳優として、そして今はコーチとして向き合ってきた「非言語の領域」が、彼らの体中から溢れ出していたのです。

■ なぜ今、私たちに「体感」が必要なのか
私たちは今、情報過多の時代を生きています。けれど、言語や文化が異なる者同士が最後の一線で互いを理解し、信頼し合えるかどうかを決めるのは、単なる語学力ではありません。

相手の背景にある熱量を感じ取り、自らの意志を身体全体を通じて届ける力。
私が提唱している「ボディスピーチ」は、まさにこの「言語の壁を突破する非言語の知性」を磨き、個の生命力を呼び覚ますためのものです。

今回の滞在中に、国内での「東久邇宮記念賞」の内定と、世界的な「LCC Coach Awards 2026 (Most Experienced)」受賞という、素晴らしいギフトが届きました。
「伝統的な日本の心」と「境界のないグローバルな視点」。
この二つが交差する今、私の使命は、日本独自の感性を世界で通じる力へと翻訳し、伝えていくことだと確信しています。

■ 共に、新しい対話を始めませんか
日本に戻れば、ラジオの出演や新しい書籍の出版準備が待っています。
でも、今の私の中には、ホーチミンの風の中で受け取った「静かな情熱」が、新しい軸として加わりました。

「身体で感じ、自分の言葉で語る」こと。
そこからしか、新しいリーダーシップも、国境を越えた信頼関係も生まれません。

このベトナムでの気づきを、これからの教育現場や、グローバル人材育成に関わる企業・組織のリーダーの方々に向けて、この体感を届けていきたいと考えています。
この視点に共感してくださる方との、新しい対話の機会を楽しみにしています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次