プレゼンテーションでは、同じ言葉を話していても、目線や間(ま)の取り方、身体の使い方によって、相手に届く印象が変わります。
では、その違いを実際のプレゼンテーションの中で、どのように指導していくのか。
先日、英語プレゼンテーション&ディスカッション講座に、再びゲスト講師として登壇しました。
前回は、非言語コミュニケーションをテーマに、受講生の皆さんに身体を動かしながら「伝わり方の違い」を体験していただきました。
今回は、その実践編です。
受講生10人がそれぞれ準備した英語プレゼンテーションを発表し、私が一人ひとりに個別フィードバックを行いました。
テーマも、話し方も、伝えたいメッセージも異なる10人。
今回の講義では、「正しい話し方」を一律に教えるのではなく、一人ひとりが伝えたいことに合わせて、身体・言葉・意図を一致させることを大切にしました。

体験型講義から、実際のプレゼンテーション指導へ
前回の講義では、主に次の4つを取り上げました。
- 間(ま)の取り方
- 目線の使い方
- ジェスチャー
- 姿勢と身体の状態
これらを知識として説明するだけでなく、実際に身体を動かしながら、伝わり方がどう変わるのかを体験していただきました。
そして今回は、受講生の皆さんがそれぞれ英語でプレゼンテーションを行い、その場でフィードバックを受ける形式です。
英語学習、ファッション、健康など、テーマは多岐にわたりました。
私が見ていたのは、単に英語を正しく話せているか、ジェスチャーができているか、ということだけではありません。
「誰に、何のために、その言葉を届けようとしているのか」
その意図を踏まえながら、どのような身体表現が効果的なのかを、一人ひとりのプレゼンテーションに合わせてお伝えしました。
“I believe”——自分の信念を身体でも伝える
例えば、ある受講生のプレゼンテーションには、
“I believe…” (私は信じています)
という言葉がありました。
自分の考えや信念を伝える、大切なフレーズです。
そこで私は、
「ここでは胸に手を置いて、カメラを見ながら言ってみてください」
とお伝えしました。
もちろん、“I believe”と言うときに、必ず胸に手を置かなければならないわけではありません。
大切なのは、言葉の意味と身体の表現が一致していることです。
自分の信念を伝える場面で、視線が原稿に落ちていたり、身体が無意識に揺れていたりすると、その思いが十分に伝わらないことがあります。
そこで一度身体を止め、自分に触れ、相手を見る。
同じ英文でも、身体の使い方を意識することで、伝わり方は変わります。
“You are wonderful.”——その言葉は誰に届けていますか?
別の受講生のプレゼンテーションには、
“You are wonderful.” (あなたは素晴らしい)
“You are amazing.” (あなたは最高)
という言葉が登場しました。
このように相手に直接語りかける言葉では、「誰に向かって話しているか」が重要になります。
オンラインのプレゼンテーションでは、原稿や画面上の相手の顔を見ながら話すことが多くなります。
しかし、カメラ越しに相手へ直接メッセージを届けたい場面では、カメラを見ることが効果的です。
そこで、
「目の前の一人に伝えるつもりで、カメラを見て言ってみてください」
とアドバイスしました。
“You”という言葉を、本当に目の前の誰かに届ける。
このように、原稿の意味を読み解きながら、目線や身体表現を具体的に調整していきます。
10人それぞれに異なるフィードバック
今回の講義で特徴的だったのは、10人全員に同じアドバイスをしたわけではない、ということです。
ある方には、
「ここでは少し間を取ってみてください」
別の方には、
「ここはジェスチャーを使って、身体でも意味を見せてみましょう」
また別の方には、
「ここはあえて動かず、身体を止めて伝えてみてください」
とお伝えしました。
プレゼンテーションでは、ジェスチャーを増やせばよい、常にカメラを見ればよい、というわけではありません。
例えば、二つの考え方を比較するときには、左右の手を使って違いを見せる方法があります。
聞き手に質問を投げかけたときには、すぐに次の説明へ進まず、考える時間をつくることも大切です。
そして、特に重要なメッセージでは、あえて身体の動きを止め、静かに相手を見て伝えることが効果的な場合もあります。
動くことも、止まることも、どちらも表現です。
私が長年の舞台経験を通して大切にしてきたのも、この身体表現の選択です。
動きがあるからこそ、静止が際立つ。
静止があるからこそ、次の動きに意味が生まれる。
プレゼンテーションでも同じように、言葉の意味や目的に応じて身体を使い分けることができます。
「間」は、聞き手のために設計する
今回のフィードバックでは、「間」の取り方についても具体的にお伝えしました。
プレゼンテーションにおける「間」は、単に話し手が言葉を止める時間ではありません。
質問を投げかけたあとなら、聞き手が考えるための時間。
重要なメッセージを伝えたあとなら、その言葉を受け取ってもらうための時間。
聞き手から反応があったときには、その反応を受け止めるための時間。
同じ沈黙でも、目的によって意味が変わります。
私はプレゼンテーションを、よくキャッチボールに例えています。
ボールを投げたら、相手が受け取るまで待つ。
言葉も同じです。
話し手が言葉を届けたあとには、聞き手が考えたり、感じたりする時間が必要です。
最初は「質問したら2秒待つ」といったテクニックから練習してもよいでしょう。
しかし、その先にあるのは、相手の状態を感じながら、自然に間を取れるようになることです。
今回の講義でも、こうした「聞き手のための間」を意識したフィードバックを行いました。
英語プレゼンテーションだからこそ、言葉以外の要素も大切に
英語でプレゼンテーションを行うとき、どうしても文法や発音、原稿の暗記に意識が向きやすくなります。
もちろん、英語を正確に話すための準備は重要です。
しかし、プレゼンテーションの目的は、原稿を間違えずに再現することだけではありません。
自分の考えやメッセージを、相手に届けることです。
そのためには、英語そのものに加えて、
- どこで相手を見るのか
- どこで間を取るのか
- どの言葉に身体の動きを添えるのか
- どこで動きを止めるのか
- どのような姿勢でメッセージを届けるのか
といった要素も重要になります。
今回の講義では、受講生それぞれの原稿をもとに、こうした要素を実際のプレゼンテーションの中で確認していきました。
一人ひとりのテーマや個性が異なるからこそ、必要なアドバイスも異なります。
全員を同じ話し方に近づけるのではなく、その人が持っている魅力や伝えたいメッセージを、より届きやすくすること。
それが、私のプレゼンテーション指導で大切にしていることです。
Body Speechは、身体・言葉・意図を一致させる
私が体系化してきたBody Speech(ボディスピーチ)は、単にジェスチャーを増やしたり、姿勢をよくしたりするためのメソッドではありません。
身体・言葉・意図を一致させることで、信頼と存在感を生み出す技術です。
今回の個別フィードバックでも、出発点は常に「何を伝えたいのか」でした。
その言葉は、自分の信念を伝えるためのものなのか。
相手への問いかけなのか。
情報を整理するためのものなのか。
聞き手に何かを感じてもらうためのものなのか。
目的が変われば、身体の使い方も変わります。
私は、舞台で培ってきた身体表現の経験と、スピーカーやリーダーへの指導経験をもとに、こうした視点をプレゼンテーション指導に取り入れています。
今回の講義は、前回の体験型講義で学んだ「間・目線・ジェスチャー・姿勢」を、受講生自身の英語プレゼンテーションに応用する機会となりました。
企業研修・講演・教育機関での指導にも
今回の英語プレゼンテーション講座では、体験型の講義に続き、実際のプレゼンテーションを使った個別フィードバックを行いました。
このような指導の考え方は、英語プレゼンテーションに限りません。
例えば、企業におけるリーダーのプレゼンテーション、社内外への説明、オンライン会議、講演、教育機関での発表指導など、さまざまなコミュニケーションの場面に応用できます。
話す内容を準備するだけでなく、相手にどう届けるかまで考える。
そのために、目線・間・姿勢・ジェスチャー、そして身体の状態を見直していく。
Body Speechでは、こうした視点から「伝わるプレゼンテーション」を考えています。
企業研修・講演・メディア取材について
プレゼンテーション、リーダーシップ、非言語コミュニケーション、身体表現、オンラインでの伝え方、存在感の設計などをテーマに、企業研修・講演・教育機関での講義・メディア取材をお受けしています。
特に、
- リーダーや管理職のプレゼンテーション力を高めたい
- 伝わる話し方を、身体表現も含めて学びたい
- 英語プレゼンテーションで、言葉以外の表現力も磨きたい
- 一方的な講義だけでなく、実践や個別フィードバックを取り入れたい
- オンラインでも信頼感や存在感が伝わるコミュニケーションを学びたい
といったテーマでご相談いただけます。
講義形式だけでなく、身体を使った体験型のワークや、実際のプレゼンテーションをもとにしたフィードバックなど、目的に合わせた内容をご相談いただけます。
企業・教育機関の研修ご担当者様、講演主催者様、メディア関係者様は、お気軽にお問い合わせください。
Body Speechをさらに学びたい方へ
今回の講義でも取り上げた「間・目線・ジェスチャー」、そしてその土台となる「存在力」について、Kindle eBookでも紹介しています。
『ちゃんと話しているのに、なぜか伝わらない』
――「間・目線・ジェスチャー・存在力」で変わるBody Speech
本書では、長年の舞台経験とスピーチ指導の実践をもとに、「自分がどう見られるか」から「相手に何を起こしたいか」へと意識を変えるための考え方をお伝えしています。
プレゼンテーションだけでなく、会議、仕事での説明、オンラインでの発信などにも活用できる内容です。
▶ Kindle eBook『ちゃんと話しているのに、なぜか伝わらない』
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言葉だけではなく、身体の状態や存在感からコミュニケーションを見直したい方に向けた講座です。

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