―― 30秒スピーチ添削の実例から学ぶ、Body Speechの技術
なぜ「うまく話せる人」より「印象に残る人」がいるのか。存在感設計メソッド”Body Speech”の創始者おがたまゆみが、実際の30秒プレゼン指導事例から、身体と言葉を一致させる技術を解説します。
この記事でわかること
- なぜ「言葉」だけを磨いても、プレゼンの印象は変わらないのか
- 実績十分な経営者の30秒プレゼンに、私が加えた「たった2つの修正」
- 小道具・言葉・間(ま)が、相手の記憶にどう作用するのか
- 「話す技術」ではなく「伝わる身体」を作るBody Speechという考え方
「30秒」で、ご縁が決まる
異業種交流会や経営者の集まりでは、与えられる自己紹介の時間はわずか30秒ということが少なくありません。
この30秒の印象で、その後のご縁が決まることもあります。
だから多くの方は、
- 「もっと伝わる言葉はないか」
- 「もっとインパクトのある自己紹介にしたい」
と、”言葉”を一生懸命に考えます。
しかし、本当に人の心を動かすのは、言葉だけなのでしょうか。
私はスピーチコーチとして、これまで数多くの経営者・専門職の方のプレゼンを指導してきました。その中で見えてきたのは、言葉の巧拙よりも先に、記憶に残るかどうかを決めている要素があるということです。
今回は、実際にご依頼いただいた30秒プレゼン添削の事例をもとに、その要素を具体的にお伝えします。
事例:実績は十分。プラスα「記憶に残る」伸びしろとは?
先日、ある経営者の方の30秒プレゼンを指導させていただきました。
その方は、かつて格闘技の世界で日本一を獲得され、現在は世界一を掴んだ選手を指導するコーチとして活動されています。
実績だけを見れば、十分すぎるほど魅力的です。
実際、最初に作られていた30秒プレゼンも、決して悪いものではありませんでした。
- ターゲットを伝えている
- 何を提供しているかを伝えている
- 問い合わせへの導線がある
いわゆる「プレゼンに必要な情報」は、すべて盛り込まれていたのです。
けれども、プレゼンにはもう一つ、見落とされがちな審査基準があります。
「相手の記憶に残るか」という視点です。
小道具は「見せ方」で価値がまったく変わる
実はこの方、最初はグローブを着けたままマイクを持ち、そのままの姿で話そうとしていました。
もちろん、それだけで「その道のプロフェッショナルである」ことはすぐに伝わります。
しかし、情報が最初からすべて見えてしまうと、それ以上の驚きは生まれません。
そこで私がご提案したのは、たった一つ。「出す順番」を変えることでした。
- まず、グローブは背後に隠しておく
- 「私は世界一を掴んだ選手を指導するコーチ、そして自身もかつて日本一を経験しました」と語った瞬間に、グローブをした手をゆっくりと上げる
たったこれだけの変更です。
しかしこの一瞬で、会場には「おぉ」という空気が流れました。
人は、“最初から見えているもの”よりも、”途中で現れるもの”の方が記憶に強く残ります。 これは心理学的にも裏付けられた、人間の注意と記憶のメカニズムです。
言葉を変えるだけでなく、「間」を変える
続いて、言葉も一部だけ入れ替えました。
元のプレゼンでは、次のような説明でした。
「次の壁を突破したい経営者へ、王者思考をお伝えしています」
意味は十分に伝わります。しかし、人は説明よりも「結論」に強く反応します。
そこで、次の一文に変更しました。
「最後に勝敗を分けるのは、技術ではなく『考え方』です」
そして、この言葉を発する瞬間に、グローブをこめかみにそっと添え、一呼吸分の「間」を取ってもらいました。
この瞬間、言葉だけでなく、身体そのものがメッセージを語り始めます。
Body Speechとは「身体で伝える言葉」である
これが、私が指導するBody Speech(ボディ・スピーチ)の考え方です。
身体の動きは、単なる飾りやパフォーマンスではありません。
言葉の意味を何倍にも増幅させる、”もう一つの言語”なのです。
どれほど言葉を磨いても、身体がその言葉と矛盾していたり、無関心なままだったりすると、相手の記憶には残りません。逆に、言葉と身体が一致した瞬間、メッセージは何倍もの強度を持って相手に届きます。
クライアント様のお声
指導後、実際にこのような感想をいただきました。
30秒スピーチが大きく変わりました。場の空気の作り方、人を引き込む話し方、間の取り方、視線や細かな動きまで、一つひとつ丁寧に見ていただきました。
私のキャリアや強みを見た上で、「何を残し、何を変えればもっと伝わるのか」を的確にアドバイスしていただき、その結果、たった30秒でも相手の印象にしっかり残るスピーチができるようになったと実感しています。
「話す技術」だけではなく、「どうすれば人の心が動くのか」を学ばせていただきました。
「何を変えるか」ではなく、「何を残すか」
この感想の中に、私はとても大切な言葉があると感じています。
「何を変えるか」ではなく、「何を残すか」。
Body Speechは、誰かを演じるためのメソッドではありません。
その人がすでに持っている魅力や経験を活かしながら、最も伝わる順番で届け直す技術です。
- 実績を盛る必要はありません
- 大げさに話す必要もありません
必要なのは、ほんの少しの調整だけです。
- ほんの少し、言葉の順番を変える
- ほんの少し、小道具を出すタイミングを変える
- ほんの少し、間を置く
この小さな積み重ねこそが、「伝わる」と「記憶に残る」の違いを生み出します。
印象に残る人には、理由がある
私はこれまで数多くのスピーチを見てきましたが、うまく話せる人が、必ずしも印象に残るとは限りません。
印象に残る人は、言葉だけでなく、身体まで含めてメッセージを設計しています。
これがBody Speechの本質です。
「話す」のではなく、「伝わる身体」で語る。
この視点を持つだけで、あなたのプレゼンは大きく変わります。
Body Speechを体系的に学びたい方へ
今回ご紹介したのは、実際の指導現場で起きた一例にすぎません。
- なぜ小道具の「出すタイミング」が記憶に影響するのか
- なぜ「間」が言葉より雄弁になるのか
- 身体と言葉を一致させる具体的な設計方法
こうしたBody Speechの考え方を体系的に学べるオンライン講座を、Udemyにて提供しています。
※本講座は英語コンテンツですが、日本語字幕付きで学んでいただけます。
こんな方におすすめです。
- 人前で話す機会が多い経営者・専門職の方
- 30秒、1分という短い時間で信頼をつくりたい方
- プレゼンや自己紹介を、もっと印象に残るものにしたい方
あなたのスピーチにも、言葉だけでは届かなかった景色が見えてくるはずです。


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